失敗事例に学ぶ! AIチャットボットの社内利用を
検討する際の注意点
導入前に知っておきたい失敗パターンと対策

現在、社内問い合わせ対応の自動化や社内マニュアル・ナレッジの体系化、その結果としての会社全体の生産性向上などを目的として、AIチャットボットの社内導入を検討している企業が増えています。

一方で、せっかく導入したAIチャットボットが期待していた効果が得られなかった、といったように、導入が失敗に終わるケースも多々見られます。

なぜ、企業はAIチャットボットの社内導入に失敗してしまうのか?実際の失敗事例や陥りがちなパターンを把握することで、AIチャットボットの社内導入を成功に導く一助としてください。

初期構築時の失敗事例と失敗の防ぎ方


AIチャットボットの社内利用の失敗において、その多くの要因は「初期構築時」に潜んでいます。チャットボット導入に充てた多大なリソースが無駄になってしまった、リアルな事例をもとに失敗パターンを紐解いていきましょう。

社内利用チャットボットの導入事例は、下記記事も合わせてご確認ください。

 

初期構築時の失敗事例①:せっかく導入したのに全社リリースできなかった・・・

まずは、せっかくAIチャットボットを構築したものの、全社リリースに至らなかった事例です。

この失敗の原因は、経営層と現場の運用担当者の間でAIチャットボットに抱いていたイメージの違いにありました。当初、現場の運用担当者の想定では、一定の領域に対する自動応答をゴールとしていましたが、経営層が強く抱く「AI=万能」という印象に応えるべく、プロジェクトが進行するに連れて、業務範囲を問わず、あらゆるQAデータをAIチャットボットに登録することになってしまいました。

その結果、質問や回答の数が多くなり過ぎてしまい、肝心の回答精度を上げることができず、プロジェクトスタートから1年経っても全社リリースを達成できませんでした。

失敗を防ぐには?

AIチャットボットの初期構築時には、まずはどの業務範囲において自動応答ができればよいのか、ある程度明確に最初のゴールを設定することが重要です。

社内の全ての業務に関する質問に回答できる社員がいないように、全てのQAデータをAIチャットボットに登録することは難しいです。まず適用領域をしっかり選定して回答精度を上げ、リリース後に実際に社員から寄せられる質問を確認しながら新しい回答を追加していくことをオススメします。

スタート時は回答内容の精査やデータ準備など、一定の工数が発生しますので無駄にならないように気をつけましょう。優先度の高い「よくある質問」とはどのような内容なのか、実際の社内問い合わせ履歴をあらかじめ確認しておいてください。

 

初期構築時の失敗事例②:低い回答精度で全社リリースしたため、社員から苦情が・・・

続いては、全社リリースしたものの、ユーザーである社員から不満の声が上がった事例です。

この失敗の原因は、プロジェクト開始から全社リリースまでのスケジュールにありました。通常のプロジェクトでは、一定の精度が担保できた状態で特定の部門のみに公開する「テスト公開」の工程を挟みます。特に大手企業の場合は、最終的なユーザー数が多いため、導入部門の本部内などで限定公開し、最終チューニング後に全社リリースするケースが多いです。

ところが、この事例はプロジェクト開始から公開までのスケジュールが3週間と短期間だったため、本来やるべき工程を大幅にカットしてしまいました。その結果、回答精度が充分に上がらずにリリースを迎えたのですが、当然ユーザーである社員からは不満の声があがります

失敗を防ぐには?

AIチャットボットの社内利用は初回のユーザー体験が重要です。初めて使った際に、一定の回答精度を感じてもらえれば活用を継続しますが、最初で「チャットボットは使えない」と大きく期待を裏切ってしまうと再度使ってもらうことが難しいこともあります。

どれくらいの精度を許容できるのかは、適用業務やその会社の「社風」も影響します。プロジェクトごとに最適なタイミングで全社リリースを実施しましょう。

 

運用開始後失敗事例と失敗の防ぎ方


初期構築を乗り切り、無事にAIチャットボットをリリース。いよいよ本格的に全社で運用・・・というタイミングにも注意すべきポイントがあります。続いて運用フェーズでの具体的な失敗事例を見ていきましょう。

運用開始後の失敗事例①:ようやく公開!しかし、下がり続けるユーザーの利用率・・・

ようやく公開に漕ぎ着けたAIチャットボット、しかし1ヶ月、2ヶ月と経つ内に、利用率がみるみる低下・・・これは本格運用後の失敗のパターンとして、もっとも多い事例といって過言ではありません。

原因は大きく分けて2つあります。まず1つはメンテナンスです。リリース後、事前に想定していなかった質問が来ることがありますが、そのメンテナンスを怠ってしまう場合です。精度はもちろんですが、回答の内容自体も要注意です。リンクが古い、回答の案内が不足しているなど、社員から声があがった際はできるだけ早く対応しましょう。

もう1つは周知です。せっかくメンテナンスをして精度を上げても、その内容を社員が知らなければ、AIチャットボットを使うモチベーションも上がりませんし、社内で浸透していきません。

失敗を防ぐには?

まずリリース直後は、ユーザーからの質問内容をチェックします。そもそも事前に想定していなかった質問も来ますので、精度向上のためにメンテナンスを実施する内容と、適用業務外としてメンテナンスしないものを分けましょう。

特に、あまりに想定と遠い質問が多く、社員が「何について回答できるチャットボットか」を理解していないと感じた場合は、その内容も再度アナウンスした方がよいでしょう。回答内容の拡充などを行った場合は、セットでその更新情報を社員に発信することも大切です。

そしてキャラクター設定や口調など、ユーザーである社員が少しでも「楽しんで」使ってもらえる工夫も必要です。擬人化できる部分こそが、これまでの検索システムなどと違ったユーザー感覚に繋がりますが、その違いを最大限に引き出すのはキャラクター設定です。新しいシステムを導入したのではなく、新しい仲間が入社した。くらいの感覚で社員が積極的に使ってくれるように社内プロモーションも工夫しましょう。

 

運用開始後の失敗事例②:投資対効果を見える化できない

さて、無事に回答精度も利用数も安定してきたところで、最後にやってくるのが投資対効果の算出です。

会社が予算を執行して導入したサービスは、AIチャットボットに限らずに効果の見える化は社内で求められます。もちろん、これまでの電話やメールの問い合わせ数の削減など、定量的に計測しやすい効果もありますが、AIチャットボットの導入効果はコスト削減だけではなく、様々な効果があります

きちんと見える化できていないと経営層から継続ストップがかかるなど、現場の担当者様が苦労される姿を頻繁に見かけます。

失敗を防ぐには?

まずは定量的に計測できる効果を算出します。その上で、AIチャットボットの特徴は、一般的なバックオフィス向けのSaaS型のサービスと違い、導入部門だけではなく、ユーザーである現場の社員にも大きなメリットがあるサービスです。特定の部門内だけではなく、会社全体として効果は出ているのか?投資対効果は、見えづらい定性面も含めて考える必要があります。

AIチャットボットの社内利用の導入効果については、こちらの資料でもご紹介をしています。

 

失敗しないための4つの注意点とサービスの選び方

ここまで複数の失敗事例を見てきましたが、ではなぜ、AIチャットボットの社内導入において上記のような失敗をしてしまうのか?原因を踏まえて、導入を検討する際に考えるべきポイントを整理してみましょう。

失敗しないための4つの注意点

  1. 回答精度は担保できそうか
  2. 日々のメンテナンスはうまくできそうか
  3. ユーザーに浸透するイメージが持てるか
  4. プロジェクトの体制をどうするか

「AIチャットボット」というサービスの特性上、AIの性能などの①には目が行きがちですが、残りの3つも同じように大事な要素です。

AIチャットボットは公開して終わりではなく、社員の声に合わせてメンテナンスが必要になりますし、そもそもユーザーが活用してくれなければ導入効果は出ません。そしてプロジェクトの中心となる運用担当者がこのような目線を持っているかも大切ですし、社内への浸透や認知を進めていく上では、他の担当者と協力が必要になることもあるでしょう。

失敗しないサービスの選び方

最後に、チャットボットの社内活用におけるサービス選定のポイントについてお話しします。

ポイントの1つは自社の「社風」

もちろん、選定は複数の要素で行うべきですが、前提として自社の「社風」を考慮に入れるべきです。例えば、運用部門のメンバーのITリテラシーを考慮すると、管理面のメンテナンス性やサポートはどの程度必要か、またユーザー目線であれば、シンプルな選択肢(シナリオ形式)のチャットボットでも回答精度さえ高ければ使ってくれるのか、もしくは、キャラクターの活用など、ちょっとしたエンタメ性があった方が利用促進のイメージが持てるのかなど、最終的に管理者側とユーザー側の双方に合ったサービスを選定することが大切であり、それは会社の「社風」によっても変わってきます。

試しに数ヶ月使ってみるという考え方もよいですが、ある程度の人的リソースを割いてプロジェクトを開始するケースが多いので、可能な限りスタート時から最終的な運用までをイメージできた上で導入することをオススメします。

サイト内では、上記のような失敗を防ぐためのノウハウが記載された事例の掲載もありますので、ぜひ参考にしてみてください!

ポイントの2つ目は「導入後の支援体制」

AIチャットボットの導入後は、シナリオ設計や学習データの準備、そして運用開始後には定期的なメンテナンスも必要となります。チャットボットを上手に活用し成果を上げていくには、一定の人的リソースが必要なことも事実です。

自社に専任の担当者を配置できないなど、人材が不足しているのであれば、サポート体制が充実しているサービスを選ぶとよいでしょう。学習データの作成代行や、回答精度の向上支援、QAデータのプリセットの提供など、充実したサポートメニューを提供しているサービスも注目を集めています。

株式会社ジェナ 取締役COO 五十嵐智博

Written by
株式会社ジェナ 代表取締役 Co-CEO
五十嵐 智博

AIチャットボット「hitTO」の事業責任者として、
サービスの立ち上げから従事。2017年のリリースからお客様へのご提案やユーザー様との会話を通じて、AIチャットボットの社内利用に大きな可能性を感じる。
hitTOを「ビジネスの最高の相棒」に育てるべく奮闘中!

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