HiTTOの導入稟議を社内で申請する際には、既存ツールへの問い合わせ件数の削減と、それに伴う人件費の削減を効果として想定していたという牛尾氏。しかし実際に導入してみると、AIチャットボット導入のメリットはそれだけではなく、社員が“聞きたくても聞きづらい”ことに回答できる、潜在ニーズに応えられることが最大の効果だと実感していると言う。
評価基準や賞与のことも気兼ねなく質問できるように
この効果を象徴するエピソードがある。HiTTO導入前は、評価制度や昇格、賞与の基準などに関して社員から人事部に問い合わせが入るケースはほとんど無かったという。そのため、最初に作成したQAデータ100件には評価に関するQAは入っていなかった。
ところが全社公開後、評価に関する質問が想像以上に多く寄せられた。評価について質問したいけれど、直接、人事部に質問するのは心理的ハードルが高く、確認しないままの状態になっていたのだろう。
しかし、「ベル助」の登場により、評価基準や賞与のことも気兼ねなく質問することができ、社員の潜在ニーズに応えることができたというわけだ。
効果測定
社内アンケートで「ベル助」の認知度と利用者が感じるメリットを調査
AIチャットボットの導入効果は、利用者の声にも現れている。
同社では、全体公開から2ヶ月後、社員向けに「ベル助」の利用状況に関するアンケート調査を実施した。その結果、AIチャットボットの導入を知っていると答えたのは87.3%と、ベル助の認知度の高さがこの結果からもうかがえる。
さらに、ベル助のメリットは、「時間を気にせずに利用できる」「待ち時間がなくすぐに回答が表示される」「基本的な質問でも気兼ねなく問い合わせできる」点が、利用者の利便性や満足度の向上につながっていることがわかる。
Q:AIチャットボットが導入されたことを知っていますか?
Q:AIチャットボットの特徴の中でメリットを感じる点があれば教えてください。
今後の展望
利用者側の利便性や生産性向上に向けたコミュニケーションを創造
牛尾氏は今回のG Suite連携機能は、業務分析にも活用できる有用な情報になる可能性が高いと話す。
「HiTTOで、質問内容だけでなくユーザー情報を自動で取得し、どの部署の誰がどんな質問をしたのかを特定できるので、採用・教育・戦略にも活用していけるのではないかと考えています。例えば、入社1年以内の社員からの質問内容を確認して、質問が多い内容については入社研修に追加する、または、部署や店舗毎に利用状況を比較して業務改善に繋げていくこともできると思います。」
さらに、これまでは自宅からベル助を利用することはできなかったが、認証連携オプションを利用することにより、退職者を除き在籍している社員であれば、自宅からでも利用可能なため、産休や育休で自宅にいる社員の疑問にもベル助で対応することが可能だ。
年齢や役職、部署、相手のタスク状況、時間帯など、誰かに問い合わせをする際には様々な心理面でのハードルがあり、聞きたくても聞けずにいることが誰にでもあるはずだ。ただ、その状態を放置してしまうと、物事の本質を理解できないまま業務が進行してしまうため、結果、あの時に確認しておけばよかったと悔やむ場面は意外と多い。だからこそ、様々なハードルを取り払って、“誰でも・いつでも質問できる”AIチャットボットの存在こそが、社内のコミュニケーションを活性化させ、社員の生産性の向上を図れるのだ。